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だから俺は大智がいいんだ

last update Last Updated: 2025-06-29 17:05:09

◇◇◇

……結局、また一日も空けずにケイロに抱かれた。

魔法で体も回復できるし、俺のこと好きだよなーコイツって手応えがめちゃくちゃあるし、何より気持ちいいけどさ――気力は回復しないんだよ……イキまくると精神も疲れるんだよ……。

俺がベッドの上でぐったり突っ伏していると、ケイロが体を起こして俺を見下ろす。

「どうした? あれだけ悦んでいたのに、不満そうな顔だが……まだ足らないか?」

「馬鹿……足りすぎて疲れてんだよ……なんでお前はそんなに元気なんだよ……」

瞳だけ動かして、俺はケイロを恨めしげに見る。

どう考えてもケイロのほうがいっぱい動いてるし、俺の中で何回も出してるし、俺と同じで心の疲労度は高いと思うんだけど……むしろ終わった後のほうが顔色良くて、活き活きしてるように見える。なんてタフさだよ。

この恨めしさを口に出してぶつけてやりたいけれど、口を動かすのも億劫だ。

視界に入ってくるケイロの割れた腹筋が、俺との差を物語っているようで悔しくなってくる。

軽く唇を尖らせていると、ケイロが俺の頭を撫でてきた。

「それだけ大智と一緒にやれるのが嬉しいんだ。俺が心から認めた相手を伴侶に迎えるなど、絶対に不可能だと思っていたくらいだからな」

……ああ、こそばゆい。前よりもケイロが俺への気持ちを素直に言うようになってくれて、嬉しいんだけれど恥ずかしい。

さっきまでエッチしてたから、体にまだ余韻が残っていて落ち着かない。頭撫でられてるのもあるけど、言葉ひとつで疼くなんて、俺の体が完全にケイロに堕ちてやがる。

俺の顔も腰の奥も熱が戻りそうになっていると、ケイロが顔を近づけ、俺を覗き込みながら告げてきた。

「本来の予定では神官長に大智を見極めてもらい、俺の伴侶に相応しいかの報告後に、父王が大智に会って判断する流れだった……だが襲われたことで、父は合否に関わらず大智を保護すると宣言した。だから――」

「つまり、まだ俺は認めてもらえていないってことか」

「そうだ。だが、大智はそのままでいればいい。父王が認めようが認めまいが、俺は大智を選ぶ。もし認めないというなら、俺がこの国から去るだけだ」

迷わずに俺を選んでくれるのは嬉しいけれど、それは――。

気だるい手を上げ、俺はケイロの頭を軽く小突いた。

「そうしたら、この国の人も精霊たちも大変なことになっちゃうだろ……俺、認めてもらえるように頑張
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  • 寄るな、触れるな、隣のファンタジア~変人上等!? 巻き込み婚~   こっちに来たばかりなのに!?

    ◇◇◇神官さんたちと和気あいあいとしながら朝食を楽しんだ――異世界の食事は派手さはないけど、どれも美味しかった――後に、ようやく俺は外に出ることができた。神殿の外観は、写真で見たことがある古代西洋の神殿を新築で建てた上に、壁やら屋根の装飾を豪華にした王道ファンタジー的神殿だった。そして神殿がある場所は、郊外の森の入り口。 近くに他の建物はないけれど、遠くの方に賑やかそうな街が見えた。「大変申し訳ありませんが、どうか近辺の散策のみでお願い致します」異常がないか見張ってくれる神官さんが、申し訳無さそうに言ってくる。「はいっ、ありがとうございます」俺は満面の笑みで答えると、さっそく辺りをキョロキョロと見渡した。「おお……何もないけど、冒険の始まりって感じがする……っ」この世界の人たちから見れば、刺激のない所かもしれない。 だけど俺からすれば、何をどう見ても俺が今までいた世界とは違う場所でテンションが上がる。異世界転移だよ! 夢のファンタジー生活だよ! ……これで尻の中の違和感がなければ最高なのに……。ケイロにやられた尻の不思議工事のせいで、純粋に異世界ライフを喜べない。 早くこっちに戻ってきて解除してくれないと、俺の記念すべき人生初異世界旅行が楽しめない……と嬉しさと嘆きが入り混じった気分で、俺は神殿周りをグルッと散歩する。あんまり植物には詳しくないけど、そこら辺に生えている草花も木も見たことがない形をしているような……?花びらがうっすら虹色がかっている神々しい花とか、細長い葉の葉脈が模様になってるとか、幹に小さな水晶をいくつも生やしている木とか……あっちの世界にはない気がする。そういえば今朝の謎肉も、どんな動物なのか分からなかったし、生き物も違うんだろうなあ。これだけ自然が豊かなんだし、虫とか小鳥とか見れば分かりそう――。神殿から離れられなくて退屈するかもと思ったけれど、意外と異世界ウォッチングで楽しめる。それについ最近まで赤点補習で地獄を見てたから、この緩やかな時間の流れと自然に癒やされる……ありがとう異世界!俺なりに異世界を堪能していると、ふと視界の脇が光った気がして振り向く。大きな木の陰で、薄緑の光球がフワフワと浮いている。 だけどしきりに光の点滅を繰り返していて、何か様子がおかしかった。「どうしたんだろ? ……

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